ソーシャルレンディングで稼ぐのに必要な能力は、何でしょうか。比較対象があると分かりやすいです。そこで、株式投資と比較しましょう。
なお、ソーシャルレンディングは、資金を出してから手元に戻るまで、半年から1年くらいが多いです。そこで、株式投資でも、同じくらいの期間保有し続けると仮定します。
半年から1年保有して稼ぐことを考えると、株式は難しいかもしれません。大まかに見て、ファンダメンタル分析を重視するか、チャート分析を重視するかに分かれるでしょう。これらを駆使して、銘柄選択をします。
銘柄選択:
日本で取引可能な公開株式は、数千銘柄にもなります。世界中の株式を対象にすれば、1万銘柄を越えます。この中から、1つまたは複数を選びます。
分析:
銘柄選択の時点で、ファンダメンタルまたはチャートを使って、ある程度分析済みでしょう。しかし、それでは大雑把すぎますので、改めて詳しく分析します。
買付:
株式の場合、信用取引を使えば売りからでも取引できます。しかし、半年から1年後に取引を終了しますので、信用売りは難しいです。コストが大きくなるからです。
そこで、買いで勝負します。チャート分析等の結果、いつ買うか?を決めます。そして、株価がその価格に到達したら、取引開始です。
売却:
株式の場合、市場で自由に売却できます。そこで、株価が目標値に到達する場合や、値動きが怪しいなあと思えば、1年保有し続ける前に売却することも可能です。
よって、値動きをチェックしつづける必要があります。指値・逆指値で売却注文を出している場合も、時折確認すべきでしょう。
配当・株主優待:
配当や株主優待は、株価と比べて年率で0%~3%の範囲に収まることが多いでしょう。株価上昇に加えて、配当や株主優待でも収益を狙います。
以上の通り考察すると、株式投資で収益を得るのは意外に大変だと分かります。市場全体が下落基調だったら、優良銘柄を選んでも株価は下落するかもしれません。逆に、市場全体が好調だったら、何を買っても株価が上昇するかもしれません。
ただ、上の考察は、不適当な部分が含まれているかもしれません。というのは、「投資期間は半年から1年間」という条件を付けているからです。
デイトレードOK、10年超の保有もOKとなれば、話は変わってくるでしょう。
短期トレードが得意な人から見れば、ソーシャルレンディングは魅力に欠けます。短期売買できないからです。また、数年以上放置したいという場合も同様です。ソーシャルレンディングは、長期投資ができません。
株式投資に限らず、投資商品は様々な特徴を持っています。自分の希望に沿う投資対象を見つけて、積極的に投資することになるでしょう。
次に、ソーシャルレンディングで収益を上げるための方法を考えましょう。上で考察した株式と同じように考えます。
事業者選択:
株式の場合、どの証券会社で買っても同じ株式を買えます。ソーシャルレンディングの場合は、事業者ごとに販売しているファンド等が異なります。そこで、事業者を選びます。
倒産しないことはもちろん、優良案件を揃えていることが条件となります。
ファンド等の選択:
実際には、事業者選択と同時にファンド等の選択もするでしょう。と言いますのは、事業者の数もファンド等の数も、株式と比べれば圧倒的に少ないです。このため、その気になればファンド等を全部確認することも可能です。
買付:
お気に入りの対象が見つかったら、買い付けます(出資します)。株式の場合は、株価を考えながら買いますが、ソーシャルレンディングの場合は、価格を考える必要はありません。自分のお金を出すか、それとも出さないか?です。
出すと決めた場合も、数万円程度から参加できます。大きな資金が必要でないのも特徴です。
売却:
ソーシャルレンディングの場合は、一般的に売却という概念がありません。中途解約もできません。そこで、満期まで保有し続けます。よって、価格変動を気にする必要もありません。完全放置です。
配当:
ソーシャルレンディングの場合、満期が来れば、配当を受け取れます。自分が投入した元本と配当の合計です。元本比で年率3%~10%くらいが多いです。
以上の通り考えると、ソーシャルレンディング方が、株式投資よりも楽に銘柄選択できると分かります。
■理由1:銘柄数
投資対象は、ソーシャルレンディングの方が桁違いに少ないです。よって、一つ一つ確認できます。また、法律の要請で、公開情報は限定的です。よって、大雑把に銘柄を検討した後は、ソーシャルレンディング事業者をどれくらい信用するか?が重要になります。
■理由2:価格変動
ソーシャルレンディングには、価格変動がありません。よって、「お金を出すか出さないか」の一点に絞ることができます。価格変動を見ながら購入タイミングを計る必要はありません。資金を投じた後の値動きを気にする必要もありません。
しかし、楽だからと言って、ソーシャルレンディングの方がいつも優れているというわけではありません。株式のメリットは、例えば以下の通りです。
よって、株式かソーシャルレンディングか?という選択でなく、株式もソーシャルレンディングも、という感じで、資金を分割して取り組むと、幅広い運用ができるでしょう。どちらか一方だけ選択しても、もちろんOKです。
最後に、期待利益の大きさを確認しましょう。株式投資とソーシャルレンディングで、どちらが優勢でしょうか。
株式投資の場合、短期トレードならば、勝っている人は全体の10%~20%くらいだろうといわれることがあります。ただし、証券会社が顧客データを分析して公開したわけではなく、噂として流れているだけです。
よって、本当の数字はもっと高いかもしれませんし、低いかもしれません。いずれにしても、短期トレードの場合、半分以上の人はまけているのでは?と予想できます。
長期投資の場合は、プラスの成績を出している人の比率が高めかもしれません。と言いますのは、配当と株主優待があるからです。1年あたり数%くらいの利回りかもしれませんが、5年、10年と保有し続けると、大きな数字になります。
仮に含み損があっても、それを補ってプラスになる可能性が高まります。
ソーシャルレンディングの場合も、業界全体の顧客損益データはないようです。そこで、クラウドクレジット(Crowdcredit)ホームページからの引用で考察します(2018年4月時点のデータ)。
上のグラフは、クラウドクレジットの顧客の損益統計であり、ソーシャルレンディング全体の成績ではありません。
とはいえ、元本割れになっている人数は少なく、損失率も低めになっていることが分かります。一方、利益になっている人は大変多く、年利7%~10%くらいの利益になっている人が多いです。
この実績を見ると、ソーシャルレンディングはとても有望だと言えるでしょう。
ただし、元本割れになった案件も存在します。このため、1つの投資対象に全額を投入するのでなく、分散して投資すると、安全度を高めつつ資産運用ができると考えられます。
ソーシャルレンディングの場合、各社で独自の案件を持っています。よって、ある事業者のソーシャルレンディング案件を、別の事業者で買うことはできません。
一方、公開株式の場合、どの証券会社で買っても同じ株式を買えます。
よって、証券会社選択で最も重要なのは、売買手数料になります。同じ株式を買えるのですから、手数料は安い方がいいです。
この視点で考えますと、最安水準の売買手数料で買えるのはDMM株です。下に、売買手数料(税込)を掲載します。大手の野村證券と比較してみましょう。カッコ内は、野村證券のインターネット取引手数料です。
DMM株と野村証券の手数料比較表
売買額 | DMM株 | 楽天証券 |
---|---|---|
5万円以下 | 54円 | 150円 |
10万円以下 | 86円 | 150円 |
20万円以下 | 104円 | 324円 |
50万円以下 | 194円 | 515円 |
100万円以下 | 367円 | 1,029円 |
150万円以下 | 432円 | 2,057円 |
300万円以下 | 648円 | 3,086円 |
300万円超 | 864円 | 5,142円~77,143円 |
全く同じ株式を買えるのに、証券会社ごとに価格差が大きいことが分かります。少しでも安い証券会社で売買すると有利です。
次のページでは、ソーシャルレンディングと債券を比較します。