ソーシャルレンディングの資金管理

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日常の資金管理

資金管理という文字を読むと、正直なところダルいかもしれません。しかし、私たちは毎日資金管理しながら生きています。

例えば、手取りの月給が30万円だとしましょう。この中から、衣食住の支出をします。毎月の住居費は7万円で、食費は5万円で…という具合です。そして、将来に備えて貯蓄もします。お小遣いも欲しいです。これらを考えるのも、立派な資金管理です。

明示的に計画を立てて使う人もいるでしょうし、無意識に計画を立てている人もいるでしょう。

計画できない人は、どこかでお金が不足する可能性があります。すると、借金するかもしれません。元々資金管理していないので、さらにお金が不足します。

こうして、借金にどっぷりとハマっていきます。しかし、こうなってしまった原因がどこにあるか、自分ではわかりません。毎日の資金繰りに奔走することになります。

少なくとも無意識に、可能ならば意識的に資金管理すべきだと分かります。

投資の資金管理

ソーシャルレンディングに限らず、投資に関しては、意識的に資金管理する必要があります。でないと、あっという間に損が膨らんでしまうかもしれません。

厄介なのは、自分の資金管理が適切かどうか、事前には分かりづらいことです。また、資金管理したからと言って、目に見えて資金が増えるわけではないことです。資金管理のパターンをいくつか考察しましょう。

パターン1

資金管理をしていないけれど、大勝ちする場合です。「自分は投資能力があるな!」と勘違いしてしまうかもしれません。すると、過大に資金を投入しすぎて、どこかで痛い目に遭うかもしれません。

パターン2

明示的には資金管理していないけれど、恐る恐る投資する場合です。儲かっても損しても、少額にとどまります。お小遣いで楽しむイメージです。この場合、「投資資金は少額にする」という資金管理をしています。

ただし、少額なので、投資としてどれだけ旨味があるか分かりません。個人の資金力やリスク許容度などと相談しながら、少額で攻め続けるかどうか考えます。

パターン3

ある程度資金を投入して、何となく無意識に資金管理する場合です。この場合、大勝ちしないかもしれませんが、大きく負ける可能性も小さいかもしれません。ただし、無意識なので、損する場合を明示的に考察していません。

よって、損したとき、その理由を他人のせいにしがちです。

損した理由を他人のせいにする人は、最終的な成功を収めづらいです。「悪い結果は他人のせい」なので、自分の行動を改善・向上する機会がないためです。

パターン4

ガッチリと資金管理する場合です。収益になる場合、1年後にいくら、10年後の予想はいくら、と考えています。逆に、損する場合も考えています。ソーシャルレンディング事業者が倒産する場合に備える、あるいは、資金を借りた人が返済しない場合はどうか…など。

この場合、利益になっても損失になっても、想定の範囲内です。慌てることはありません。事前に考えたプランに沿って淡々と進めるだけです。

投資を繰り返すと、経験値が高くなります。その経験を自分の行動に反映させる心の余裕と謙虚さも備えています。こういうタイプは、投資で成功しやすくなります。

ソーシャルレンディングは、資金管理しやすい

ここで、朗報があります。ソーシャルレンディングは、他の投資対象に比べて資金管理しやすい面が多いです。その理由は、以下の通りです。

株式投資と比較

株式投資:
・相場変動でいくら稼げるか、事前に分かりづらい。
・同様に、相場変動でいくら損するか、事前に分かりづらい。
・配当は毎期変わるので、収入を確定的に考えるのは難しい。
・株主優待は嬉しいけれど、お金ではない。

ソーシャルレンディング:
・収入金額は、あらかじめ大体分かっている。
・損する場合も、その額は概ね分かっている。

株式投資は、その不確実性が魅力です。ドカンと大きく株価が上昇してくれれば、とても嬉しいです。

一方、ソーシャルレンディングの場合、どちらかと言えば不確実性を嫌うタイプの投資です。「いくら投資するから、1年後はいくらになって戻ってくる」というのが、あらかじめ分かっています。

実際には、お金を借りた人が返済しないと、私たち投資家は損する可能性があります。

運用の経験値が蓄積される

しかし、ソーシャルレンディングは、案件がどんどん出てきます。よって、返済しない確率がどれくらいか、返済しない場合に担保でどれくらい回収できるか、といった経験が蓄積していきます。

その経験を投資行動に反映させれば、損になる可能性を減らすことができます。

例えば、不動産関連の案件に投資する場合、第一順位の抵当権を設定していて、融資額は不動産評価額の70%まで、という条件を付けているものに限定するとします。

すると、実際に債務不履行(借金が返済されないこと)が発生しても、投資資金の大部分は戻ってくると期待できます。不動産の売却価格によっては、100%戻ってくることも期待できます。

その他の投資と比較

株式投資と同様に、その他の投資と比較してみましょう。下は、大雑把な表現です。実際に投資を検討する場合は、詳細に考える必要があります。

FX:
・相場変動でいくら損益が出るか、事前に分かりづらい。
・スワップポイントは毎日変わるので、収入を確定的に考えるのは難しい。

不動産投資信託(REIT):
・相場変動でいくら損益が出るか、事前に分かりづらい。
・配当は、比較的安定している。ソーシャルレンディングよりも少ない傾向。

債券:
・個人の場合、相場変動での損益はあまり考えないでしょう。満期まで保有です。
・毎期の利子は一定ですが、現在の金利状況では大した額を期待できません。

実際の資金管理方法

では、実際の資金管理方法を確認しましょう。いくつか方法があるはずですので、ここでは一例をご案内します。

1.ソーシャルレンディングへの資金投入量を決める

例えば、毎年5万円欲しいとします。ソーシャルレンディングの利率は3%~10%くらいですから、準備すべき資金は100万円前後になります。

100万円という額が、大きすぎる場合があるでしょう。この場合は、毎年の目標額を減らします。すると、準備すべき金額が減ります。逆に、余裕があるならば、100万円より大きくしても良いでしょう。

重要なのは、ソーシャルレンディングに投入する資金が仮に失われても、生活に困らないことです。損したら生活に困る場合、それは投入資金が大きすぎます。

2.資金を分割する

例えば、100万円をソーシャルレンディングに使うと決めたら、5万円×20案件に分割します。この意味は、1つの案件に投入できる金額は5万円で、最大で20案件まで投資できると言う意味です。

いくつに分割するかについては、投資する人のリスク許容度によるでしょう。全額を1つの案件に投入するのは、リスクが高すぎます。

その案件で返済されなかったら、手元資金がなくなってしまうからです。なくなってしまえば、もう投資できません。挽回のチャンスがないということになります。

よって、可能な範囲で、資金を細かく分割します。

3.いい案件を見つけたら、事業者に入金

当初は、資金を銀行に置きます。そして、いい案件を見つけたら、その案件を募集している事業者に入金して投資実行です。

あらかじめ事業者の口座に入金する、という方法もあります。しかし、銀行の場合、経営破たんしても、1,000万円とその利息については、全額が手元に戻ります。一方、ソーシャルレンディング事業者が経営破たんする場合は、そのような保護はありません。

よって、安全な銀行に資金を保管し、投資するときになったら、ソーシャルレンディング事業者に入金します。

4.投資分析をメモする

自分が分析した案件について、自分の評価をメモしておくのも、有効でしょう。それが積み重なった後に全体を調査すると、経験値に加えて分析能力も高まります。

こうして、ソーシャルレンディングの資金管理をします。

次のページでは、ソーシャルレンディングによる「複利運用」について考察します。

ソーシャルレンディングの資金管理・運用