ソーシャルレンディングの複利運用

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複利運用と単利運用

ソーシャルレンディングで資産運用しますと、年率で3%~10%くらいの収入を期待できます。そこで、100万円を投入して、毎年数万円を得るとします。

投資した後は放置できて、毎年数万円です。決して悪くないですが、そのうちもっと大きな収入が欲しくなるでしょう。そこで、ソーシャルレンディングで得た収益を再投資して、さらに大きな収入を目指すことを考えます。

すなわち、複利運用です。

最初に、複利運用と単利運用で、成績にどれだけの差が出てくるか、グラフで確認しましょう。運用期間は30年とします。

なお、単利運用は、利益を再投資しない運用方法です。

資産増加グラフ

30年というと長いですが、老後資金を作る期間として考えると、現実的な時間かもしれません。

日本人の寿命は延びていて、90歳台という人も珍しくなくなりました。すなわち、今50歳、60歳という人でも、30年運用を現実的に考えることができます。80歳や90歳になって怖いのは、おそらく「お金が尽きること」です。

年金は頼りにならず、労働もできず、手持ち資金もない。さらに、家族に先立たれていて自分が残っているという状態は考えたくありません。「長生きリスク」という言葉もあるくらいです。

そこで、老後資金も考慮しつつ、投資期間30年を視野に入れながら、単利と複利を比較しましょう。

元本100万円、年利3.0%で30年運用する場合:
単利運用:30年後の資産は190万円
複利運用:30年後の資産は242万円

元本100万円に対して、最終的に50万円の差が出ます。決して小さい数字ではないでしょう。

複利運用の方が好成績なのは、当然です。単利の場合、100万円から3万円得るのを30年間繰り返します。収入は3万円×30年=90万円です。元本とあわせて190万円です。

一方、複利運用の場合、最初の年に得た3万円も再投資します。3万円の3%は900円です。複利運用を始めた当初は、その効果を実感できないかもしれません。

しかし、収入を再投資し続けると、収入がどんどん大きくなっていきます。それが、30年後の50万円として表れています。

では、100万円を元手にして、3.0%でなく様々な利率で30年複利運用したらどうなるか?を考察しましょう。日々の生活は給料や事業収入などで賄うとして、ソーシャルレンディングで稼いだお金を使うのは30年後のお楽しみ、ということです。

年利3%複利と年利10%複利

ソーシャルレンディングで運用すると、1年で3%から10%くらいの利率を期待できます。そこで、毎年10%の利率で収入が得られるとしましょう。そして、それを全額再投資します。

3%の複利運用と10%の複利運用で、成績の違いは以下の通りになります。

資産増加グラフ(年率3%と10%の比較)

30年後の資産額:
年利3%複利の場合: 242万円
年利10%複利の場合:1,744万円

税金を考慮していませんので、実際に手元に残る金額とは異なります。しかし、7倍以上の差となりました。3%と10%では、差は7%です。7%の差はとてつもなく大きい数字だと分かります。

そこで、可能ならば、年率3%の案件よりも10%の案件を狙うべきだと分かります。

ただし、年率10%の案件に集中投資する場合、お金を借りた人が返済しなくて、収益が得られない確率も高めになると予想できます。

そこで、担保がある案件を選んだり、担保がある場合も、抵当権の順位は1位であること、などの条件を付けたりすると、安全度が高くなります。

年利6.5%複利

しかし、現実的には、年利10%で担保があって、デフォルトしても満額がいつも返ってくるという案件に投資し続けるのは難しいです。

そのような優良案件ばかりではないからです。

そこで、3%と10%の間を取って、年利6.5%複利で運用する場合を考えてみます。先ほどの複利運用グラフに、年利6.5%を追加したのが下のグラフです。

資産増加グラフ(年率3%と6.5%と10%の比較)

30年後の資産額:
年利3%複利の場合: 242万円
年利6.5%複利の場合: 661万円
年利10%複利の場合:1,744万円

年利6.5%と年率10%を比較すると、3倍弱の違いがあります。とても少なく見えてしまいますが、年利3%と比較すると、やはり3倍弱違います。

そこで、安全度が比較的高めで10%得られる案件を探しつつ、普段は5%よりも高い案件を探すことが候補になりそうです。

いろいろな複利運用

以上の考察は、利益を極大化するためにはどうすれば良いか?という話でした。実際の運用では、損する場合も考えなければなりません。

そこで、守りも考慮した複利運用を考察します。

複利運用例1:単利3.0%、複利3.5%

年利10%複利での全力投資はリスクがあるけれど、年率3%では面白さに欠けるかもしれない、という考察をしました。そこで間を取って6.5%という数字が出てきたのですが、この数字で守りも考慮します。

すなわち、複利運用に回すのは3.5%にして、毎年得られる3.0%分は銀行口座に戻そう(単利運用)、という案です。

こうすることで、毎年得られる利益の一部は複利運用しません。すなわち、投資の損失リスクを緩和することができます。

複利運用例2:一気に資金を2倍にして、元金を銀行に戻す

年利10%で複利運用すると、7年と少しで資金が2倍になります。そこで、最初の7年はリスクを取って資金を増やします。資金が2倍になったら、投資元本を銀行に戻します。そして、その後は3.0%で複利運用するという案です。

この意図は、最初の7年でリスクを大きくとり、その後は安全運転に努めるということです。

人は誰もが歳をとります。高齢になればなるほど、挽回が難しくなります。そこで、少しでも若いうちにリスクを取ります。仮にそこでリスクが顕在化して失敗しても、働いて復活可能です。

そして、資金を2倍にできたら、元本は銀行に戻します。すると、その後、仮に投資資金がゼロになっても損しません。どう転んでも損しないという投資は、気持ちが良いことでしょう。

上の2つの複利運用例と、単純に年率3.0%で複利運用する場合の資産増加の様子は以下の通りです。

資産増加グラフ(複利運用と単利運用の複合)

30年後の資産額:
年利3%複利の場合:242万円
7年間10%複利、その後3.0%複利の場合:292万円
単利3.0% + 3.5%複利の場合:370万円

青線(単利3.0%と複利3.5%)は、利益を少しずつ安全な銀行に移動する方法です。しかし、投資元本はずっとリスクにさらしたままです。

一方、最初の7年間で資金を2倍にする方法は、勢いよく資金を増やせます。しかし、最終的に追い抜かれてしまいます。とはいえ、最初の7年間を無事に通過できれば、その後、投資資金が元本を下回る可能性はゼロになります。

どの方法がもっとも良い、ということはありません。そこで、投資する皆様のリスク許容度と欲しい利益のバランスを考えながら行動することになります。

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ソーシャルレンディングの資金管理・運用