ソーシャルレンディングの貸し倒れ調査

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ソーシャルレンディングで投資するにあたり、貸し倒れが気になります。いくら利回りが良くても、貸し倒れになっては損です。

そこで、ソーシャルレンディング事業者別に、貸し倒れ状況を調査しました。各事業者の公開情報を利用した調査結果です。調査日は、2018年9月23日です。

なお、各社ホームページの情報を注意深く調査しましたが、データを把握し損ねている部分があるかもしれません。そこで、このデータは参考としてご利用ください。

貸し倒れとは

貸し倒れの調査結果を見る前に、「貸し倒れとは何か」を確認しましょう。貸し倒れになったというための要件はいくつもありますが、ざっくりと書けば「貸したお金がもう永遠に手元に戻らない状態」です。

まさに損です。

ということは、債務者(資金を借りた人)の返済が滞っているだけでは、貸し倒れとは言えません。また、担保を取っている場合は、その担保を売却すれば投資資金が返ってきます。この場合も、貸し倒れとは言いません。

よって、今回の調査も、貸し倒れのみでなく、返済が滞っている金額も可能な範囲で調査しました。

調査対象の事業者

今回、調査対象としたのは、以下のソーシャルレンディング事業者です。各自業者の名前をクリックしますと、その事業者の調査結果をご覧いただけます。

オーナーズブック(OwnersBook)の貸し倒れ状況

オーナーズブックバナー

オーナーズブックの状況は、以下の通りです。

調査項目 調査結果
投資案件数 114件
貸付総額 7,343,000,000円(およそ73億円)
延滞中 0円(0件)
延滞率 0.0%
貸し倒れ 0円(0件)
貸し倒れ率 0.0%

オーナーズブックでは、延滞中及び貸し倒れ案件はありませんでした。投資家を募集したけれども投資を実行できなかった案件は、1件にとどまっています。その1件は、借主が手付金を放棄して契約解除したものです。

よって、募集実施後に、オーナーズブックや投資家が原因で投資不成立となった案件は、1件もありません。オーナーズブックは確実度が高いと評価できます。

なお、オーナーズブックの投資案件数は、2014年のサービス開始以降で114件になります。件数としては多くありません。これは、良質な案件に絞って投資家を募っているからかもしれません。

利回りは4%から5%くらいの案件が多く、確実度を優先している可能性もあります。

オーナーズブックの特徴につきましては、記事「オーナーズブックの案件,利回り,手数料,会社の安全性」でご確認いただけます。

レンデックス(LENDEX)の貸し倒れ状況

LENDEXバナー

レンデックス(LENDEX)の貸し倒れ状況は、以下の通りです。

調査項目 調査結果
投資案件数 33件
貸付総額 945,330,000円(およそ9億円)
延滞中 0円(0件)
延滞率 0.0%
貸し倒れ 0円(0件)
貸し倒れ率 0.0%

今回の調査対象の中では、投資案件数が最も少ない33件という結果になりました。これは、第1回案件の募集時期が2017年7月であるためです。

LENDEXは2000年設立の会社ですが、ソーシャルレンディングを始めて1年と少しです。その期間で33件をこなしています。延滞中及び貸し倒れ件数が0ですから、今後の発展を期待できそうです。

なお、LENDEXの投資案件は、おおむね1年以内に完了します。そのため、ソーシャルレンディングは短期間の投資ですが、その中でもさらに短期の投資ができます。

レンデックスの特徴につきましては、記事「LENDEXの案件,利回り,手数料,安全度の高い投資案件」でご確認いただけます。

SBIソーシャルレンディングの貸し倒れ状況

SBIソーシャルレンディングバナー
調査項目 調査結果
投資案件数 259件
貸付総額 66,582,490,000円(およそ665億円)
延滞中 1,255,500,000円(14件)
延滞率 1.9%
貸し倒れ 0円(0件)
貸し倒れ率 0.0%

SBIソーシャルレンディングは、貸付総額がとても多いです。665億円以上もあります。1件当たりの貸付額が10億円を超える大型案件があるためです。

また、延滞中の案件が14あります。SBIソーシャルレンディングでは、3つのカテゴリーの貸付がありますので、分野別で延滞の状況を確認しましょう。

カテゴリー 延滞額 件数
オーダーメイド型ファンド 1,255,500,000円(約12億円) 7件
不動産担保ローン事業者ファンド 0円 0件
カンボジア技能実習生支援ローンファンド 3,178,390円(約300万円) 7件

上の3種類のうち、カンボジア技能実習生のファンドは、リスクがとても高い案件です。SBIソーシャルレンディング自身も、そのリスクを警告しつつ投資家を募集しています。

この案件は、半ば延滞が発生することが前提になっているように見えます。そこで、安全性を重視する場合は、カンボジア技能実習生支援ローンファンドへの投資を避けるべきでしょう。

オーダーメイド型ファンドでも、7件の延滞が発生しています。こちらのファンドでは、不動産を担保にしています。よって、担保不動産を現金化しつつあります。延滞が発生したのは残念です。しかし、担保があるため、投資家の資金は戻ってくることが期待できます。

SBIソーシャルレンディングは、債権回収の状況につき、詳細にホームページで公開しています。情報公開のレベルが高いことは、とても重要な点です。

SBIソーシャルレンディングの特徴につきましては、記事「SBIソーシャルレンディング-貸し倒れ,倒産リスクを考察」でご確認いただけます。

ラッキーバンクの貸し倒れ状況

ラッキーバンクバナー
調査項目 調査結果
投資案件数 822件
貸付総額 15,529,450,000円(およそ155億円)
延滞が疑われる案件 361,015,000円(12件)
延滞率 2.3%
貸し倒れ 0円(0件)
貸し倒れ率 0.0%

ラッキーバンクは、投資案件数がとても多いことが分かります。1,000近くあります。これだけ件数があるので、貸付総額も155億円と大きな数字になっています。

なお、表に「延滞が疑われる案件」として、3.6億円(12件)を記載しました。これは、ホームページ上では「運用中」となっているものの、返済完了予定日を既に過ぎている案件です。

ホームページの更新が遅れているだけかもしれませんし、実際に返済が遅れているのかもしれません。判断できませんが、ここでは、投資家の安全優先で「延滞が疑われる案件」という表記にしました。

仮に、すべてが延滞だとしても、投資案件数は822もあります。そのうちの12件ですから、全体に占める率(1.46%)はとても小さいと分かります。

クラウドクレジットの貸し倒れ状況

クラウドクレジットバナー

クラウドクレジットも、ホームページ上で案件を詳細に報告しています。しかし、各社の報告をしてきたようなデータを取得するのが、困難でした。そこで、クラウドクレジットが公開しているデータを使って、貸し倒れ状況を確認します。

下の表は、2018年6月時点の、顧客全体の損益状況を示したものです。クラウドクレジットのホームページ画像です。

クラウドクレジットの損益状況

クラウドクレジットは、海外案件を多数公開しています。このため、成績は為替レート変動の影響を受けます。とはいえ、将来円高になるか円安になるかは分かりませんから、上のグラフの成績は推計になっています。

とはいえ、おおむね成績は良好だと分かります。顧客全体の年利回りの平均値は、6.1%になっています。

また、損失になった人がいますが、全体から見ればとてもわずかだと分かります。

よって、他のソーシャルレンディング事業者では国内案件を、クラウドクレジットでは海外案件で分散投資を、という使い分けができそうに見えます。

(まとめ)ソーシャルレンディングの貸し倒れ状況

以上、ソーシャルレンディング事業者5社について確認しました。貸し倒れは1件もなく、返済が滞っている案件は複数ある、という状況でした。

また、不動産を担保に取っている案件ならば、延滞になっても、不動産の売却等で資金を回収しつつある様子が分かります。

よって、安全重視で投資するなら、「第1順位の抵当権をつけている案件で投資する」ことが大切でしょう。抵当権を確保していても、第2順位以下では安全度が劣ります。

ソーシャルレンディングは高い利回りが期待できます。1つの案件に全額投資することなく、分散投資で安全に気を配りながら投資すべき、と言えるでしょう。

ソーシャルレンディングの資金管理・運用