寄付型クラウドファンディングとは、インターネットで広く一般から寄付を集めることです。
そして、寄付ですから、寄付した人に見返りはありません。寄付した先の法人等が、事業報告をホームページに掲載してくれるでしょう。それ以上の報酬はありません。
すなわち、従来の寄付と同じということになります。では、従来の寄付と比べるとき、寄付型クラウドファンディングのメリットとは何でしょうか。また、デメリットはあるでしょうか。
社会性を帯びた事業の場合、寄付集めが重要になる場合が少なくありません。事業で十分に収益を得られるならば、寄付集めは不要なので助かります。しかし、社会性を帯びた事業の場合は、収益化が難しい場合があります。
そこで、寄付を募ります。どのように集めましょうか。
方法1:街頭募金
最も古典的であり、基本的な方法です。現在でも、駅前などで見かけることがあります。しかし、この方法は効率的でしょうか。
何人か、スタッフを配置する必要があります。声を張り上げて1日中頑張ったとして、いくら集まるでしょうか。スタッフは、ボランティアでしょうか。完全無給だと、長続きしないかもしれません。
彼らにも生活があるからです。
そこで、いくらか報酬を出すこともあるでしょう。また、チラシを作るかもしれません。デザイン・印刷・運搬は無料ではありません。少なくとも、その経費以上に募金を集める必要があります。
また、募金が集まったとして、かなりの重量の現金を持ち歩くことになります。金額は大きくないかもしれません。しかし、硬貨が集まると、持ち運びが大変ですし、強盗に遭う危険がないとも言えません。
方法2:広報誌等
市区町村の広報誌や、コミュニティ向けの小冊子に掲載してもらう方法です。インターネットが広く普及したとはいえ、紙媒体も健在です。
特に高齢者向けについては、インターネットよりも紙の方が有効かもしれません。
紙媒体で問題となりうるのは、掲載してもらうまでの手続きに比べて、効果が大きいかどうか疑問な点です。掲載を打診し、協議し、掲載文章を考え、最終的な許可をもらい、掲載します。煩雑です。
そして、労力が必要な割には、広報誌等の賞味期限は短いです。発行された当初は、多くの人が見てくれるでしょう。しかし、1ヵ月も経過すると、ほとんどだれも見なくなってしまいます。
さらに、広報誌の1ページを割いて掲載するわけにはいかないでしょう。多くの場合、わずか数行で簡潔に広報します。これで、一体いくら集まるでしょうか。読者の関心を集めることは難しいかもしれません。
以上の通り考えると、インターネットを使った募金活動(寄付型クラウドファンディング)は、有効といえます。
では、寄付する側から見て、どのように寄付したいでしょうか。
方法1:街頭募金
基本的な募金活動ですが、正直なところ、どうでしょうか。声を張り上げてお願いされている横を、素通りします。先方が勝手にお願いしているのであって、募金に応じる必要はありません。
しかし、素通りすることに、変な罪悪感を覚えることはないでしょうか。
また、寄付することにしたとしましょう。わざわざ財布を開けなければなりません。そもそも、お金を出した彼らは、事業関係者でしょうか。募金してくださいと言っていますが、持ち逃げされるかもしれません。
寄付金控除も、当然ないでしょう。街頭募金で寄付金控除の手続き(領収書の受取)をしている人を見たことはあるでしょうか。
こうなると、募金するとしても、少額にならざるを得ません。大きな金額を寄付する場合、もっと正式なルートを使って募金したいと思うでしょう。
方法2:広報誌等
広報誌等の場合は、街頭募金よりも信頼性が高くなります。誰なのか不明という人が、募金活動をしているわけではないからです。
ただ、募金するために広報誌を探す、という人は、極めてわずかでしょう。たまたま目に留まったから募金してみようかな、という感じにならざるを得ません。
自分が支援したい種類の事業を広報誌で探すのは、容易ではありません。
以上の通り考えると、インターネットを使った寄付金集めは、効果が大きいです。日本全体に、24時間365日広報を続けます。外国語版を作れば、日本にとどまらず、世界中に広報できます。
また、自分自身の事業について、文字数や写真掲載の制限なく、どこまでも深く紹介できます。
寄付金控除等の手続きについても、説明できます。寄付金控除は、募金集めにとって有力な武器でしょう。寄付する側にとっても、見返り不要といいつつ、税制のメリットがあると嬉しいものです。
しかし、インターネットを使う方法にも、いくつかの問題があります。
どれだけ素晴らしいウェブサイトを作っても、閲覧者がいなければ価値がありません。ウェブサイトの数は、無数にあります。その中から、多くの読者に自分のサイトを訪問してもらいます。
何と難しいことでしょうか。
多くの読者に読んでもらうために、検索エンジンで上位に表示されるよう工夫したり、SNS等で効果的に広報できるように勉強したりします。
すると、寄付金を集めた後の事業よりも、いかに寄付金を集めるかに精神と時間を費やすことになりかねません。これでは、寄付する側、お金をもらう側、両方にとって不幸です。
インターネットの情報は、運営者が自由に発信できます。ということは、読者から見て、その情報が本当かウソか確認できません。
インターネットの世界では、現実世界以上にウソ・詐欺が広がっています。その中で、自分のウェブサイトは信頼できます!と訴えるには、どうすれば良いでしょうか。
実は、信頼を得ることが、最も難しいことかもしれません。
以上の問題を解決すべく、現在では、寄付型クラウドファンディング情報を集めたウェブサイトが登場しています。複数のサイトがありますが、信頼性を高めるための方策を採用しています。
具体的には、情報を掲載するために、ウェブサイト側の専門家と寄付を集めたい人が、繰り返し協議して事業内容や広報を検討します。
こうすれば、詐欺的案件が紛れ込みにくくなります。
そして、資金を集めた後、事業を実施します。その経過をホームページで報告する必要がありますから、さらに詐欺的案件は減るでしょう。
数多くの寄付案件が1つのウェブサイトに集まることで、寄付をしたい人にとってもメリットが大きいです。そのサイトを閲覧し、自分の希望の事業を探して寄付できるからです。
寄付したくない事業をスルーしても、何の罪悪感もありません。寄付したという満足感だけ得られます。
また、目的の事業はいくらの寄付を集め、事業の進捗状況はどうなっているか、といった情報も得られます。
さらに、今まで知らなかったという事業も、そのウェブサイトで見つけられます。
寄付型クラウドファンディングは、メリットが大きいです。インターネット時代に適した寄付集めの方法として、今後も発展していく可能性があります。
では、寄付情報を集めたウェブサイトを使うことのデメリットはないでしょうか。
信頼度の問題があるかもしれません。これは、時間が解決してくれます。寄付型クラウドファンディング事業を営むウェブサイトは、いくつもあります。誠実に事業を遂行している企業は、時間の経過とともに信頼を得られるでしょう。
寄附する側から見てデメリットになりうるのは、コストです。
寄附する人は、ウェブサイト運営者に手数料を直接支払うことはありません。寄付を募集する人が、サイト運営者に手数料を支払います。その手数料は、私たちの募金から捻出されます。
この手数料をどう考えるか、です。
寄附情報を集めたウェブサイトは、収入がないと継続できません。よって、寄付を募集する人から手数料をもらうのは、自然なことでしょう。よって、手数料の割合が小さいならば、特に問題にならないと思います。
寄附のチャンスを提供してくれてありがとう、ということです。
しかし、手数料の割合が大きい場合は、考える必要がありそうです。手数料が大きい・小さいというのは、寄付する人の感覚に依存します。
よって、クラウドファンディングの総合サイトで寄付する場合は、寄付集めをしている人が負担する手数料についても確認しましょう。高すぎると思えば、寄付集めをしている人に直接支払うべきかもしれません。
最後にデメリットを書いてしまいました。しかし、全体としては、寄付型クラウドファンディングは、とても有効な手段です。寄付型クラウドファンディングの総合サイトのおかげで、寄付を集める側も、寄付する側も、とても便利になりました。
どこかに寄附したいという希望がありましたら、寄付型クラウドファンディングの総合サイトを閲覧してみましょう。
次のページでは、購入型クラウドファンディングについて、特徴やメリットなどを確認します。